東京のひとつの文化の終焉に触れた 銀座最古のバー「ボルドー」を訪れて

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2016年12月17日に訪れた時のボルドー。土曜日で閉まっていた
この外観の時点で「まるでおとぎ話の世界に入っていくような」ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

 

2016年12月22日に閉店した銀座最古のバー「ボルドー」に
ぎりぎりで入ることが出来た。

訪れたことのない世界。
オーセンティックなスタイル、エレガントな雰囲気、建物の歴史的価値、ストイックに客を選ぶ姿勢。
その店の内観の写真を見たときに
全てが「1927年創業時から何も変わっていない」
「これだけの立派なアンティークやノスタルジックな世界観を失ったらもう二度と見られることはない」直感が働いた。

そして、これだけのバーに女性が1人で行くーというのにはさすがに私も戸惑いがある。
何人かの知人が一緒に行くことに興味を示してくれたが、年末の忘年会シーズン…急な誘いに乗ってくれる人は誰もいなかった。

今夜の仕事が終わり、あぁ、どうしようかな。
「1人で高級老舗バーに行く」勇気が持てない。
最後までグズグズし、会社の近くの花屋で見つけたクリスマスブーケを買ってしまった。
この花束を持って帰って、家族と楽しんでもいいかな。。

 

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↑ 家族に渡すつもりで買ったクリスマスブーケ。
赤とピンクを基調とした、とても可憐な雰囲気の花束で一目買いした。

 

そう思いながら、帰宅する電車に乗ってすぐのことだった。
「バーの前はすごい行列ができているけど、何時頃くるの?」

明後日、アイルランドに帰郷する知人からメッセンジャーが入った。
え? 聞いてないよ。。
どうやら、私のfacebookの書き込みを見て突如思い立ったらしい。
発車ベルが鳴る電車から慌てて飛び降り、銀座へ向かった。

現地へ着いてみると、小さいドアの前に30人以上の客が並んでいる。
待つこと3時間。まだ3メートル位しか進んでいない。
この店は、最後まで「お客様との空間」を大切にする店なのだ。
私とアイルランドの知人の前には、まだ15人ほどがいる。
閉店時間まで、あと1時間余りとなった。

お店の人が出てきて、何人待っているのかを数え始めた。
その時私はとっさに、店へ来る前に買った花束を渡した。

「閉店まであと数時間しかありませんけど、よかったらこれをお店に飾って下さいませんか?」
気がついたら、私はそう言っていた。

89年という年月変わらず、今でも生き生きとしている内装やアンティークをきちんと磨いて手入れをし、お客に提供してきたお店の姿勢にまずは感謝の気持ちと—
全てが取り壊されて無くなってしまう前に、どうしても中を拝見したいんです。一瞬でもいいので、お店に入れてもらえませんか。待ってます、是非お願いします

と、私はお店の人に訴えかけていた。

雨がひどくなり、お店の人は「満員御礼」を
言いに外にでてきたのかもしれないが
私の花束にびっくりし、
その後「うん」と一言だけ言って待つこと更に1時間後。

「お花をありがとう。
次に入れてあげるから、こっちへ入っていらっしゃい」

と、雨濡れないようにと従業員が通る出入り口の中で待たせてくれた。

 

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↑お店の中は撮影禁止ということで、1枚も撮らなかったが
こんなに長い行列ができていたことも気が付かなかった。
行列客にホッカイロと傘を配って回る「客への思いやりとともに
最後まで「ただの冷やかし客は毅然と断る」お店の人の態度もとても印象的だった。

 

やはり、思っていた通りだ。

 

格子の枠の高い天井、900年前のヨーロッパのフラッグ、今でも現役の黒電話、19世紀末〜20世紀初頭の照明、絨毯の色、柱の作り、家具など… 全てのモノたちが目に焼き付いて、訪れて2週間以上経った今でも離れない。

 

良いモノが時代を経て、そのままの状態で多くの人に愛され、生きている。

 

そして2階へ上がる階段の脇には、私が渡した花束が飾られていた。

 

閉店後、建物は取り壊されてしまうと思います…とマスターの奥様が仰っていましたが、どうなるのだろうか・・・

 

まるでドラマのような展開で、最後の最後に入ることができた銀座最古のバー「ボルドー」。

 

歴史的価値のある建物と、東京の華やかな文化の終焉の一つの場に間に合ったこと—
最後にご縁があって、本当に良かった。

 

あ、家族のために買った花束は、翌日買い直しました…

 

 


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