船上のBlackbird 世界へ挑む日本人2016 ワシントンD.Cへの道2

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2015年7月5日の田村 直樹さんの壮行会でコンビを組んだ玲子さんとまーやん。
その1年後、日英スピーチコンテスト全国大会でそれぞれがチャンピオンになるとは誰が予想しただろうか。
(写真提供 竹内 康夫さん by 飯田橋 /響 /Cosmos トーストマスターズクラブ)

 

Blackbird—

Beatlesの、大変有名な曲である。

そして昨年の夏、ラスベガスで消えた夜にひとりで泣いていた玲子さんのHeart of heartsを表現していた歌でもある。

今日のブログは、Jazz Vocalist として玲子さんから頂いたメッセージを、そのままご紹介します。

 

 

好きな曲はたくさんあります。       ← クリックすると曲が流れます

でも、今ならBlackbirdかなぁ。

Blackbirdは1968年に発表されたビートルズの名曲で人種差別に屈することのなかったある女性のニュースがもとになって書かれた曲だと、何かで読んだことがあります。

私がこの曲を初めて演奏したのは、2015年7月5日、Jazz Live でした。

 

以下、思い出すままに書きます。

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2015年7月5日

開店直後の楽器屋さんへ行く。

予約しておいたアンプを借り、道路脇まで引きずっていく。キャスターがついてはいるものの、かなり重い。

肩から下げたカバンには、新調したお気に入りのマイクが入っていた。

ふと見上げると、彼がサックスをかかえて立っていた。

本当は深夜まで練習して、ろくに寝ていないだろうに、そんなことはほとんど感じさせない。

2人でタクシーに乗り込み、お台場の船着き所へ急ぐ。

 

この日は日本代表の壮行会、船上パーティーだった。

彼と私は船上Jazz liveを仰せつかった。

チャンピオンへの精一杯の声援と、チャンピオンになれなかった自分たちへの精一杯の慰めと。

それぞれの思いと重い楽器を抱えて、私たちは船に乗り込んだ。。

 

彼は「まーやん」と呼ばれていた。

彼のことはほとんど知らなかった。

サックスを聞くまで。

前年秋の全国大会余興で吹いたスタンド・バイ・ミーのテーマ。

空気を割っていくような迫力。なのに、繊細な息遣いで絶妙な抑揚をつけてくる。

すごい、この人!!

 

そんなまーやんとDuoを仰せつかった。

6月のある日曜日、八重洲のプロントで初打ち合わせ、っていうか、ほぼ初顔合わせ。

あの時のあの人とDuo!?

想像するだけで緊張した。

 

打ち合わせは意外にもサクっと1時間ほどで済んだ。

適当な曲を3曲選び、その場で音を確認しながらKeyまで決めきった!

 

。。。はずだった。

 

家に帰ってみると。。。

数日過ごしてみると。。。

やはり、どうしてもあきらめられない曲が出てきた。

何度も何度も、あの一節が頭をよぎる。

 

どうしてもこの曲をやりたい。

 

そのたった一節のために、「この曲に変えたい」 ってまーやんに言ったら、怒られないだろうか。。。

今まで一度も歌ったことのない、楽譜もない。 Keyもわからない曲だ。

でも、思い切って彼にメールしてみる。

だめかなぁ。。

すると彼は即座にこう返してきた。

「わかった、やってみようよ。」

 

「やりたいって気持ちがすごく伝わってくる。

多分、玲子さんが今やるべき曲なんだろうね。」

この人は時々妙なことを言い当ててしまう。

 

その曲というのが、Blackbird。

人種差別に屈さなかったある女性がモデルになっていると言われている。

 

「ゴォー」という船のエンジン音にまみれながら、静かにこの曲を始めた。

目の前には、日本代表を応援しようと集まったたくさんのトーストマスターズの人たち。

本当は、彼らだってみんな、チャンピオン目指して闘ってきた人たちなのだろう。

そして…その旅のどこかで敗北を味わってきたのだろう。

私たちと同じだ。

 

トーストマスターズのコンテストでは、1位を取った人間だけが次のコンテストに進める。

2位でも3位でも、次のステージには上がれない。

参戦した誰もが、その挑戦ーそしてどこかで悔しさを味わうことになる。

 

負けても屈さず、それでも頭をもたげて来季を待ち望むたくさんのトーストマスターたちの姿が、Blackbirdの歌詞に絶妙にリンクしてしまう

 

「負けたんじゃない。時を待っているだけだ」

 

っていう静かな決意を、まーやんのサックスは優しい音にしてくれる。

 

Blackbird singing in the dead of night.

Take these broken wings and learn to fly.

All your life.

You were only waiting for the moment to arise.

 

あれから約1年。

まーやんと私はほとんど連絡を取ってなかった。

彼がどんな風に過ごしてきたのか、私はほとんど知らなかった。

そんなある日、まーやんが全国大会へ駒を進めたことを聞いた。

とうとうきたか。

 

あの日のBlackbirdを思い出した。

「負けたんじゃない。時を待っているだけ。」

 

2016年5月28日、まーやんはとうとう、日本語コンテストで日本チャンピオンになった。

その翌日、私は英語コンテストでまーやんに続いた。奇跡だと思った。

 

7月のあの日、私たちは船上で鳴く2羽の Blackbird だった。

傷ついた羽根を取って飛び方を学ぼうとしながら。

負けたんじゃない。時を待っているんだって強がりながら。

 

あの日サックスを握っていた両手には、大きなトロフィーが渡された。

そのトロフィーには、金色の大きな鳥がとまっていた。

 

すべてのBlackbirdには、必ず飛べる日がくる。

 

その時は、必ずやって来る。

 

You are only waiting for the moment to arise. 

 

 

2016年、District 76代表そして日本代表として、世界へ挑む日本人 増井 玲子さん。

 

そして、同じくDistrict 76代表としてもうひとりのチャンピオンとなったまーやん。

 

おめでとうございます。

 

そして、素敵なドラマをありがとう。

 

— 次回へ続きます。

 

次回予告—今年は「1冊のスケッチブック」からスタートします。

玲子さんはシュガーヒルの・・・いや、ワシントンDCのてっぺんを目指す。

「Blackbird」の裏話とこれから始まる「応援メッセージ」の旅

 

表参道バイリンガル 会長/ 増井 玲子さん 応援団長

くどう みきこ


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